テレワークとリモートワーク_何が違う?

テレワークとリモートワークの違いとは?

テレワークとリモートワークの違いとは?

2020年4月の緊急事態宣言の発令をきっかけに、テレワークの導入や検討を行う企業が増えてきました。

2021年3月に国土交通省が発表したデータによると、2020年のテレワーク実施は2019年の9.8%から19.7%へと倍増していることから、新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増えてきていることが分かります。

参考・出典:「テレワーク」実施者の割合が昨年度から倍増!~令和2年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~

また、この「テレワーク」という言葉ですが、「リモートワーク」と同じ意味で使っている人も多く、どちらもオフィスから離れて仕事を行うことを意味しており、大きな違いはありません。

ここでは、混同しやすい「テレワーク」と「リモートワーク」の違いを説明すると共に、その導入事例、またテレワーク導入のメリット・デメリットについてご紹介します。

テレワークとは?

一般的に「テレワーク」とは、オフィスから離れたところで働くことをいいます。

英語の「tele」は「遠く、遠方の」を意味しており、これに「働く」という意味の「work」を組み合わせた言葉が「テレワーク(tele work)」と言われています。

◉欧米企業における「テレワーク」の定義

前オバマ政権下で 2010 年 12 月に制定されたテレワーク推進法(Telework Enhancement Act)によると、テレワークは、「オフィス以外の企業が承認した場所で、従業員が職務・責任を果たせるようにするための柔軟な勤労形態」と定義されています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の一環で、2020 年 3 月中旬以降、全米 42 州で 外出制限措置・在宅勤務令が出されたことで、テレワークが一躍脚光を浴びました。

特に大手テック企業 の間では、Twitter 社が 5 月に同パンデミック収束後も希望者に無期限で在宅勤務を認めることを発表し、 Facebook 社も 2030 年までに同社の半数の従業員を永久的にテレワークとする可能性を明らかにするな ど、より柔軟な働き方を見直す動きが広がっています。

テレワークの三つの形態

そんな海外では一般的な働き方であるテレワーク。

日本においても導入している企業は多く、業態により様々な働き方があるようです。

ここではさらに深堀りし、テレワークを導入した際の3つの働き方について、詳しく見ていきましょう。

【1.在宅ワーク】

一般的に、企業と雇用契約を結びながら、自宅で仕事ができる働き方を在宅ワークといいます。

しかし、すべての職種が在宅ワークに向いているわけではありません。

例えば、無理なく在宅ワークに向いている職種としては、以下のようなものが挙げられます。

◉在宅ワークに向いている職種

・システムエンジニア、プログラマー

・デザイナー、イラストレーター

・ライター、編集者

・事務職

・カスタマーサポート

・オペレーション業務

在宅ワークは、デザイナーやライター、事務職など物理的制約がない職種であれば、基本的にどのような職種でも導入は可能です。

評価基準の定義や勤務状態の管理方法、セキュリティをはじめとしたインフラ整備など、条件はいくつかありますが、今後多くの職種で導入が進んでいくことは間違いありません。

【2.モバイルワーク】

在宅ワークと違い、自宅以外の場所で働くことが認められている働き方をモバイルワークといいます。

また、モバイルワークについては、外出が多い営業職や経営層などに向いている働き方といわれています。

ノートパソコンやタブレット、スマホといった端末を使って、顧客と商談を進めたり、

外出からクラウドにアクセスしたり、より自由度の高い働き方ができます。

特に最近では、無料のWi-Fiを提供しているカフェやコワーキングスペースが増えており、

モバイルワークを行いやすい環境になりつつあるため、導入を検討している企業も増えてきているようです。

【3.サテライトオフィス勤務】

昨今、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が問題となっていることから、育児や介護との両立など、多様な働く人のニーズに応えていくことが企業の課題となっています。

サテライトオフィスはこれらの課題を解消するために設けられた、本社から離れた場所に設置されたオフィスのことをいいます。

それでは、首都圏・地方・郊外に設けられたそれぞれのサテライトオフィスの特徴について更に詳しくみていきましょう。

★3種類のサテライトオフィス
◉首都圏のサテライトオフィス

首都圏に本社があり、同じ首都圏に別のオフィスを設けるタイプのサテライトオフィスです。

例えば同じ都内の離れた場所に本社とサテライトオフィスがあれば、外回りの営業員マンは出先から近いオフィスに戻って業務を行い、また出かけることができます。

もちろん、自宅から近いオフィスを選択することも可能です。

◉地方のサテライトオフィス

首都圏に本社を置く企業が地方に設置するタイプのサテライトオフィスです。

こちらは厚生労働省など国も支援を行っています。それに応えることで地域における雇用の促進などに貢献できます。

また首都圏の企業が地方にオフィスを置きバックアップ機能を付与することで、サテライトオフィスをBCP(事業継続)対策に組み入れることもできます。

◉郊外のサテライトオフィス

郊外のベッドタウンなどに設置するタイプのサテライトオフィスは、従業員の通勤時間を短縮し、仕事と育児・介護との両立、良好なワークライフバランスを実現する従業員ファーストのオフィススタイルです。

日本に初めてテレワークが導入されたのはいつ?

そして、日本に初めて導入されたテレワークも上記の「サテライト型」だと言われています。

1984年に日本電気株式会社(NEC)が、東京都武蔵野市の吉祥寺エリアにサテライトオフィスを設置したのが始まりとされています。

続いて、三菱マテリアル株式会社や日本電信電話株式会社(NTT)といった大手企業が、郊外にサテライトオフィスを構築していきます。

この背景には、バブル経済による売り手市場が関係しています。

都心の地価が高騰する中で、企業は都心から離れた郊外に目を向けました。従業員が働きながら育児や介護をできる環境を設けることで、人材の流失を防ぐことに成功しました。

また、1984年というのは、日本でインターネットが普及し始めた年です。従業員1人につき1台のパソコンが支給された働き方も、当時、斬新な働き方として注目を集めたと言われています。

リモートワークとは?

続いては「テレワーク」と同じ意味合いで使われることが多い、「リモートワーク」について解説してきます。

一般的にリモートワークとは、完全にオフィス以外の場所から働く形態をいいます。

例えば、オフィスに自分のデスクがなく、会社から支給されたノートパソコンを活用して家から働くスタイルはリモートワークとなります。

基本的に、テレワークのように通勤を伴わないため、リモートワーカーは会社のオフィスからは地理的に遠い場所に住んでいるケースが多いです。

つまり、テレワークとリモートワークの違いについて具体的に定義するなら、

・テレワーク=必要に応じて通勤するため、基本的にオフィスがメイン

・リモートワーク=通勤を全く伴わないため、オフィス以外がメイン

となります。

もし導入を検討しているなら、業種にあった働き方を検討してみるのが良いかもしれませんね。

リモートワーク導入事例

続いては、完全在宅型のリモートワークを導入した企業の事例をご紹介させていただきます。

【1.アフラック生命保険株式会社】

がん保険をはじめとした生命保険を主商品としており、アヒルのCMでおなじみのアフラック生命保険株式会社。

同社は2015年からリモートワークを推進しています。

従業員は、生命保険の契約に関する秘匿性の高い個人情報を含むデータをやり取りする必要があり、リモートワークは厳しいのではないかといった声もありました。

しかし同社は、リモートワークを実現するため、ネットワークにアクセスする際のVPN(仮想専用線)接続の徹底並びにセキュリティ対策を万全にした端末の増設など、環境整備を入念に行いリモートワークの実現を果たしました。

【参照】https://kagayakutelework.jp/seminar/2019/pdf/tokyo02/kameoka190725.pdf

【2.GMOペパボ株式会社】

レンタルサーバーなどのインターネット関連サービスを提供するGMOペパボ株式会社。

オリジナルグッズの作成・販売やハンドメイドマーケットの運営なども行っています。

コロナ禍において、リモートワークや「脱ハンコ」をいち早く導入し、2020年1月から在宅勤務(リモートワーク)を取り入れ、6月1日からはテレワークを基本とした勤務体制に移行しました。

完全リモートワークに近い状態でも業務や業績に支障をきたすことなく事業を継続できいる企業なので、リモートワークの導入を検討している企業が今一番ベンチマークするべき企業なのかもしれません。

【参照】https://www.gmo.jp/news/article/6803/

【3.日産自動車株式会社】

日産自動車では、従業員のライフスタイルを尊重し、幅広い働き方を柔軟に選択できる制度を導入しています。

★日産自動車の具体的な取り組み

・労働時間のモニタリング

・オフィス一斉消灯

・ノー残業DAYの設定

・週間PDCAの推奨

などなど、長時間労働の削減や生産性向上に繋げる取り組みも行っています。

社内のリモートワーク化に伴い、オフィスやIT環境の改善・整備も行い、PCがあれば世界中の日産グループのメンバーといつでもどこでも誰とでもコミュニケーションを図ることが可能となりました。

また、育児・介護者の支援にも力を入れています。

従業員一人ひとりの成長と会社への貢献を共に実現するために、その時々のライフステージに応じてフレキシブルに働くことをサポートしています。

【参照】https://telework.soumu.go.jp/wp-content/uploads/2020/06/case-study_h28pioneer_27.pdf

テレワークやリモートワークが必要となった背景

前述の企業のように、今後も増えていくと予想されているテレワーク・リモートワークですが、なぜ、中小企業・大企業に関わらず、今まで日本にはなかった新しい働き方に注目が集まっているのかを考えていこうと思います。

背景①|労働人口の減少によるもの

テレワーク・リモートワークの導入を検討する企業が増えてきた大きな社会的背景の一つに、「労働人口減少」の問題があります。

どの中小企業・大企業も口を揃えたように問題視している人材不足の課題。

特に、結婚や妊娠、育児や介護を行う必要に迫られた際、これまでの日本企業は、会社を辞めるか休職するかの選択肢しかありませんでした。

しかし、ITやインターネットなどの技術革新により、「場所にとらわれない働き方」といった選択肢を持つことができるようになりました。

「ちゃんと仕事をしてくれるなら、働く場所は問わない」と考える経営者が増えてきたことも、テレワーク・リモートワークの導入が進んでいる要因の一つだと考えられます。

背景②|コスト削減のため

オフィス業務には大きなコストが発生します。

◉オフィス業務にかかる主なコスト

・オフィスの家賃

・オフィスを飾るための什器・備品類

・水道光熱費、通信費

・従業員に支給する交通費

などなど、さまざまな費用が経費として必要です。

テレワークを実現することによってオフィススペースの縮小化や、備品、水道光熱費、通信費なども削減できます。

また、そもそも出社が必要なくなるので交通費の削減にもつながります。

これらの費用を削減することにより、余った経費を事業発展のための投資に活用できます。

背景③|インターネットなど情報通信を行えるインフラが整ってきたから

前述のように、インターネットなど情報通信を行えるインフラが国全体で整ってきたことも、テレワーク・リモートワーク普及の背景として考えられます。

例えば、ZOOMなどのWeb会議システムの普及したことと、それが更に高性能・低価格で利用できるようになりました。

テレワーク・リモートワークにおいて、情報通信技術の発達は必要不可欠です。

そして、これらのツールをいかに使いこなすことができるかが、テレワーク・リモートワークの推進が上手くいくかどうかの分かれ道になるのではないでしょうか。

リモートワーク・テレワークを導入するメリット

メリット1|生産性の向上

総務省の調査によれば、テレワークを導入した企業の50.1%が「労働生産性の向上」をテレワークの導入目的として挙げています。

また導入した企業の実に82.1%が「労働生産性向上に効果がある」という回答をしており、多くの企業で生産性向上の実績があることが分かります。

【参照】https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144320.html

メリット2|新たな人材の確保につながる

テレワークにより通勤の問題を減らすことができるため、地理的に就労が困難だった優秀な人材の確保が可能となります。

また子育てや介護のために働けなかった人々もテレワークにより、会社を辞めることなく続けてもらうことが可能となります。

このように人材確保の幅が広がり、優秀な人材を獲得することが実現します。

メリット3|企業ブランディングでイメージアップ

企業ブランディングを強化し、積極的に働きやすい環境づくりを行っていることが世間に伝われば、好感度アップにつながります。

テレワークにより従業員のワークライフバランスを考慮した就労ができる環境を整えることで、企業の人気度も向上し、採用においても他社競合との差別化が図れます。

メリット4|事業継続計画(BCP)の支えになる

BCP(Business Continuity Planning、事業継続計画)とは、災害や感染症の拡大などの緊急事態が発生したときに、企業の損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画のことです。

突然の災害や感染症の拡大が起こっても、事業を継続できるようにテレワークを導入しておくことは大切です。

非常時には通勤しなくてもオフィス以外の自宅やサテライトオフィスなどで勤務できる体制をとっておけば、問題なく事業継続が可能になります。

リモートワーク・テレワークを導入するデメリット・解決法

デメリット1|労災の範囲が曖昧になる危険性がある

一般的に、従業員が勤務中に起こった災害については、労災保険が給付されます。

テレワークで在宅勤務となっている場合、業務の時間とそうでない時間が混在するため、給付条件を見極めるのが難しくなる可能性があります。

もし労災で対応できるか否か迷った場合は、厚生労働省が公表している「テレワーク導入のための労務管理等Q&A集」を参考にしてみるのも良いかもしれません。

【リンク】http://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/13.pdf

労災に認定されるかどうかは、労働基準監督署の判断に委ねられますので、その都度確認が必要となりそうです。

デメリット2|コミュニケーションが希薄になってしまう

従来のオフィスに出社するスタイルの場合、ちょっとしたことでも同僚や上司とコミュニケーションが図れていましたが、テレワークの場合は、社員同士の接触頻度が少なくなってしまうため、コミュニケーションが希薄になってしまう可能性があります。

zoomなどのWeb会議も、対面でのコミニケーションとは違い、話が他者と被りやすく思ったことを発言しにくかったり、感情の機微が読み取りにくく、無愛想に映ってしまうことも…。

こうした際には、自社やチームに合ったチャットツールなどを活用して、認識の齟齬が起きないような仕組み作りが重要になってきます。

例えば、チャットワークやSlack、ハングアウトなどのツールが挙げられます。

デメリット3|上司の目がないためサボってしまう

エン・ジャパンが実施した「中小企業のテレワーク実態調査」の「テレワーク導入の上で難しかったことは何ですか?」という質問に対して、難しかったことの上位に「テレワーク社員の時間管理」といった回答が多く、多くの企業がこの問題に苦労している様子がうかがえます。

【参照】https://www.nice2meet.us/telework-demerit-donyu-point

テレワークはメリットもありますが、「少しぐらいサボってもバレないだろう」という社員が出てきてしまう可能性も秘めています。

サボりは言うまでもなく生産性の低下につながり、テレワークの導入を阻害する大きな要因にもなり得ます。

サボり防止対策として最も有効なのは、パソコンへのログイン状況や仕事内容を遠隔で管理できるツールの導入です。

稼働時間だけでなく使用したアプリの時間管理や画面キャプチャができる機能を搭載した管理ツールもあり、サボり防止に一役買っています。

まとめ

今回は、テレワークとリモートワークの違いや、導入にした企業の事例やメリット・デメリットについてご紹介させて頂きました。

テレワークとリモートワークは定義の若干の違いがあるものの、基本的には同じ意味合いと考えて問題ないでしょう。

昨今、企業には従業員のライフスタイルにあった働き方を提供できる環境が求められています。

そうした背景の中でリモートワーク・テレワークは重要な役割を果たす土台になるものです。

また、リモートワーク・テレワークを導入することで企業価値(ブランディング)が向上し、求人の応募率も上がることが期待できます。

是非この機会にリモートワーク・テレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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