ブランド拡張とは?メリット・デメリット合わせて解説!

日本国内の多くの市場でコモディティ化と成熟化が進み、人口減少とも相まって大きな事業拡大が見込めない中、どのように売上を拡大していくかは多くの企業が頭を悩ませている課題です。

昨今、新規事業や新ブランドの立ち上げを検討されるケースも多いですが、そこには大きなリスクも伴います。

そこで用いられる手法の1つが「ブランド拡張」です。

「ブランド拡張」とは、ある商品・サービスで築き上げた認知度・イメージ・顧客基盤などの「ブランド資産」を、別の商品やカテゴリに活用して新市場の攻略を図る考え方です。

とは言え、強いブランド資産があればどんなブランド拡張も成功するというわけではありません。

拡張先の商品・サービスが思うように伸びない、場合によっては、拡張元のブランド資産を毀損してしまうというようなケースも存在します。

本記事では、既存のブランド資産を活用して更なる事業成長を図るための「ブランド拡張」について、その基本的な構造やメリット・デメリット、構築のプロセスまで具体的な事例とともにご紹介致します。

ブランド拡張とは?

ブランド拡張とは、すでに確立しているブランドを軸に、他の新しい製品やサービスを展開し事業を拡張していくことを指します。

実は、ルイ・ヴィトンやエルメス、アルマーニなどの高級ファッションブランドでは一般的に行われている手法です。

これらの高級ファッションブランドはアパレルをスタートに腕時計や化粧品、ホテル、家具とブランドを拡張しています。

また、食品メーカーにおいても、不二家のミルキーはキャンディからスタートし、チョコレート、アイスクリーム、ドリンク、クリームパンまで事業をスケールさせており、カルピスについても乳酸菌飲料からアイス、キャンディ、そしてサプリメントまで拡張しています。

このようにブランド拡張は、単なる多角化事業とは違い、既存のブランド資産を有効的に利用していくことでブランドの成長を促進するための1つの手法として扱われています。

ブランド拡張が求められる理由とは?

ブランド拡張は、すでに確立されたブランドで新しい製品・サービスをリリースするところから始まります。

既存のブランド資産を有効的に活用することで成功の確率を高めると同時に市場開拓の時間と資源を節約できます。

また、過去のブランディングで実現してきた信頼性を引き継ぐことも可能で、時には既存の顧客基盤を利用することも可能です。

そして、大きな理由としては、新しい製品・サービスの認知を高める一助となり、重要なブランド連想をもたらす点です。

(※ブランド連想とは「〇〇といえばこのブランド」と消費者がブランドに関して連想できる全てのものを指します)

そのため、新しく製品やサービスを作るよりもはるかに効率的な施策といえます。

ブランド拡張の種類とは?

過去にアメリカで発表された論文によると、ブランド拡張は7つのパターンに分類できたといいます。

【7つの拡張パターン】

【1】異形態への拡張

ex:カップラーメン→袋入りラーメン

【2】原料・成分を利用した拡張

ex:コーラ飲料→コーラ飴

【3】カテゴリーでの拡張

ex:アウトドアグッズ→ウエア、シューズへの拡張

【4】同一顧客への拡張

ex:銀行→クレジットカード、保険、国債

【5】技術・知識を活かした拡張

ex:家電メーカー→電動自転車、携帯電話、パソコン

【6】属性・特長を活かした拡張

ex:美容整形外科プロデュースのダイエットマシン、スポーツメーカーの栄養ドリンク

【7】属性・特長を活かした拡張

ex:帝国ホテルのビーフカレー缶詰

【ライン拡張とは】

本来、ブランド研究の世界では「ブランド拡張」は、「カテゴリー拡張」のことを指していました。

しかし最近では上記のように概念が広がり、ライン拡張もブランド拡張のひとつに含まれています。ちなみにブランド拡張の8割は、ライン拡張だと言われています。

例えば、定期的に新商品や期間限定メニューを販売しているマクドナルドやスターバックス・コーヒなどはライン拡張の戦略をとっているといえます。

ある程度、認知度と信頼度があるブランドの場合、たとえ従来のメニューと異なる性質の商品を市場に投下したとしても、母体商品の品質やクオリティへの信頼度が高いため、固定顧客にある程度売れる見込みがあり、低リスクで新しい商品やサービスを展開することができます。

【カテゴリー拡張とは】

カテゴリー拡張とはブランド拡張の一つで、親ブランドとは異なる製品カテゴリーに参入することをいいます。

例えば、自動車メーカーで有名な「ホンダ」は自動車の分野が親カテゴリーです。

しかし、ホンダの場合、自動車のみならず、オートバイや船舶エンジン、スノーモービルなどの異なる分野にも参入しています。

このように、親カテゴリー以外の分野に事業を広めていく拡張スタイルを「カテゴリー拡張」といいます。

ブランド拡張のメリットとは?

ブランド拡張のメリットは、大きく分けて以下の3つです。

【1】大きなリスクを避けて、一定規模以上の顧客獲得を狙える

新規事業に比べ、ブランド拡張は大きな失敗のリスクを低減しつつ、売上を伸ばしやすい手法です。

特に、既存のブランドが強く競合優位性がある場合、別の商品カテゴリでも一定以上の顧客を獲得できる可能性が高く、新ブランドの立ち上げのように「莫大な投資をしたのに市場に響かず大損してしまった」というリスクは相対的には少ないといえます。

例えば、アップルウォッチは、「アップル」という強いブランドを武器にすることで「腕時計市場」に参入し、低リスクで一定以上の顧客獲得をしています。

【2】ブランドのプロモーション効率が上がる

既存のブランド資産があるため、新しいブランドをゼロから立ち上げて、そのブランドに投資するよりも少ないプロモーション費用で売上を伸ばしやすいのもメリットの1つです。

例えば、ダイエットで有名なライザップは1つのテレビCMで「ダイエットサービス」と「ゴルフサービス」のどちらも訴求しており効率的なプロモーションを行っています。

またこれまでの「ライザップは結果にコミットする」というイメージ資産が既に多くの人の頭の中にあり、「ゴルフスクールも結果にコミットしてくれそう」という期待を自動的に抱かせることができます。

【3】拡張したブランドの評判が、既存ブランドにもポジティブに影響する

拡張したブランドのユーザーが、逆に大元のブランドのユーザーになってくれる場合もあります。

大元のブランドと拡張したブランドの親和性が高ければ高いほどその相乗効果は絶大です。

例えば、総合通販サイトが主力の「楽天」ですが、現在は楽天トラベル、楽天銀行、楽天カード、楽天イーグルス、など多種多様な事業領域に拡大しており、しかもどの事業領域でも主要のブランドになっています。

そのため、楽天ユーザーのブランドイメージは、通販サイトとしてのイメージに留まることなく、「ITサービスを広く展開している企業」「生活を支える巨大企業」など、より抽象度の高いポジティブなイメージを定着させることに成功しています。

ブランド拡張のデメリットとは?

ブランド拡張のデメリットにおいて最も注意したい点が「ブランドの希薄化」と言われています。

希薄化は何らかの形で既存ブランドのイメージが弱まることを意味し、その多くの原因はブランド全体の一体感が弱まり、拡張した新製品の連想と既存ブランドのイメージとの不一致にあるとされています。

例えば、希薄化に陥った事例として、イタリアのファッションブランド「GUCCI(グッチ)」が挙げられます。

グッチはかつて、ライセンス供与により22,000アイテムまで拡張したことで、ハイブランドであるにも関わらず、一般の大衆にも手が届くものになってしましい、「高級」「社会的ステータス」「高品質」というイメージが消失してしまいました。

比較的安価なシリーズを展開した結果、「高級ファッションブランド」であるといった「ブランド力」の低下を招いてしまったのです。

このように安易にブランド拡張を行うと、希薄化を引き起こす可能性があるため、戦略的かつ計画的な拡張を行わなければいけません。

また、大元のブランドと、拡張したブランドがカニバリに陥ってしまうケースもあります。

※カニバリとは「カニバリゼーション」の略語です。

自社の事業同士で競合してしまう事を指します。

ブランド間で顧客を奪い合ってしまい、双方で売り上げを落としてしまっては本末転倒です。

このカニバリゼーションを避けるためには、ブランドの立ち位置や関係性を明確にすることが重要となります。

まずはそれぞれのブランドのターゲット層が重複していないか確認してみましょう。

ブランド拡張を成功させる方法とは?

それでは、実際にブランド拡張とはどのように構築していけばいいのか、ブランディングとマーケティングの観点から紹介していきたいと思います。

【Step1】ブランドの立ち位置を調査する。

はじめに、以下の手法で消費者が自社ブランドに対して抱くイメージ評価を調査し、

ブランドのポジショニングや市場の将来性を測定します。

★調査方法&調査内容

・消費者を対象に行う消費者調査

・商品の市場規模

・競合商品

・実際に、製品をテスト販売し、モニターからの反応を測定する実地調査

この調査を行った結果、ブランド同士のカニバリゼーションや希薄化が生じていないか、ある程度判明します。

ブランド拡張を行う上でまずは消費者の声に耳を傾け、カニバリが生じないブランドポートフォリオを作成していく必要があります。

★ブランドポートフォリオに関する記事はこちら

【Step2】発信したいブランドイメージを明確にする

発信したいブランドイメージを明確にすることを「ブランド・アイデンティティ」といいます。

そしてこの「ブランド・アイデンティティ」を基に、どんな価値を、誰に提供するかを具体的に考えていくことでカニバリゼーションを未然に防ぐことができます。

★ブランド・アイデンティティの構成要素

◉コーポレート・アイデンティテ(CI)

→理念、ビジョン、コンセプト、スローガン

◉ビヘイビアアイデンティティ(BI)

→組織の機構改革、商品の品質管理、販売促進、広告宣伝

◉マインドアイデンティティ(MI)

→基本理念、社是、行動指針、メッセージの構築や社名の見直し

◉ビジュアルアイデンティティ(VI)

→ロゴ、シンボル、トレードマーク、デザイン体系

【Step3】課題抽出、戦略立案、実行

ステップ1の消費者に行った調査結果と、ステップ2で決まったブランドイメージのギャップを比較し、課題抽出を行っていきます。

【Step4】狙ったターゲットにブランドが認知されているかを検証(PDCA)

それぞれのブランドが走り出したら、ブランド評価の効果観測を行い、ブランド拡張がうまく機能しているかを検証します。

ステップ1同様に、消費者調査、市場調査のほかにも、PR活動やWebサイトなどのオウンドメディアを通じて効果測定することも可能です。

この調査結果で、消費者から適切な評価が得られていない場合には、改善策の考案を行い、PDCAを繰り返し行うことが必要です。

ブランド拡張は、あらゆる企業が永続的に成長していくための戦略の一つです。

マーケティングやブランディングをうまく活用し、戦略立てを行うことで、それぞれのブランドが相乗効果を生み出し、成果を出すことに繋がります。

ブランド拡張を行う上での注意点とは?

ここまでブランド拡張とは、安易に拡張すると「カニバリゼーション」と「希薄化」に陥ってしまうという説明を行ってきました。

そして、拡張したブランドが失敗すれば、大元のブランドにも悪影響を及ぼす可能性もあります。

例えば、ユニクロを運営するファースト・テリング社は2002年に野菜販売を主力とする「SKIP」というブランドを立ち上げました。

かつては「ユニクロ野菜」と呼ばれるほど、スタートアップ後の知名度はすぐに高まりました。

しかしわずか1年後、9億円以上の赤字を出し、2004年3月に撤退することとなります。

野菜事業に失敗した理由はさまざま考えられますが、ブランディングの観点で考えるなら、ファースト・リテーリング社の運営する「ユニクロ」と「SKIP」のブランドイメージに乖離があったことが考えられます。

もともとファースト・リテーリング社のブランドイメージはユニクロに代表されるように「高品質・低価格」「安くても良いもの」が売りでした。

しかし、「SKIP」の野菜事業は「高品質・高単価」といったポジショニングをとりました。

従来のユニクロを認知している消費者は、ユニクロを「安くても良い品質の衣類が手に入る」というブランドとして認知していました。

しかし、野菜事業に関しては「高価値」で「良い品物」を提供するセグメントに移行し、一般の消費者からすると言わばイメージダウンになってしまいました。

せっかく「ユニクロ野菜!?」「あのユニクロが野菜事業!?」と話題になったものの、ユニクロのブランドイメージである「安くて良いもの」との乖離があり事業は失敗に終わりました。

数年後、担当者は大赤字だったGU事業の副社長を任されました。

SKIPの大失敗から「消費者にインパクトを与える商品が必要だ」と考え、990円ジーンズを投入。

たちまち大ヒットさせてGUは黒字化し、息を吹き返しました。

言わば「安くても良いもの」というブランドイメージに即した形でV字回復をすることができたのです。

まとめ

今回は「ブランド拡張」をテーマにその基本知識からメリット・デメリット、施策を行う上での注意点を紹介しました。

「ブランド拡張」は、既に確立されたブランドを他のカテゴリーに使用したり、新規ブランドの立ち上げに必要な投資と時間を大幅に削減することができます。

但し、ブランド拡張には限度があり、売り上げ拡大の可能性と現行のブランドに悪影響を及ぼすリスクがあることも視野に入れなくてはなりません。

以上の点を踏まえて、自社のブランドにより最適な「ブランド拡張」を実践してみてはいかがでしょうか。

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