そもそもESGとは?

まずはじめに、そもそも『EGS』とは何かを説明します。
EGSとは、以下の3つの要素から構成される企業が取り組むべき課題です。
その3つの要素は以下の通りです。
【1】Environment(環境)
【2】Social(社会)
【3】Governance(企業統治)
また、それぞれの各要素の具体的な取り組みは以下の通りです。
【1】Environment(環境)
・再生可能エネルギーの活用
・CO2ガスの排出量の削減
・廃棄物の削減
【2】Social(社会)
・地域貢献や社会貢献
・ダイバーシティ
・人的資本の積極的活用
【3】Governance(企業統治)
・積極的に情報開示を行う
・資本効率化
・女性の役員登用
最近では、上記の3つの要素を軸に、社会問題や環境問題、ダイバーシティなど幅広く取り組んでいる企業が増え始めてきています。
また最近は、上記の3つの要素から企業を解析して投資する「ESG投資」が注目されています。
ESG投資とは?
ESG投資とは前述の解説通り、ESGの3つの要素に配慮した投資活動のことを指します。
いままで投資家は、企業やブランドの利益やキャッシュ・フローなど、株価や財務状況を参考に投資判断を行ってきましたが、そこにESGの価値基準も加え、企業へのサステナビリティを重視した投資が今注目を集めています。
また、SDGsやESGなど世界的にみても地球環境や社会問題にしっかり向き合うことが必要とされている昨今、投資家、企業、いずれの立場においても必須の取り組みといえます。
ESG投資が注目されている理由
ESG投資が注目されている背景には以下の理由が挙げられます。
【1】企業やブランドの財務情報だけでは長期的な収益を図るのが難しくなってきたから。
【2】人的資本など非財務情報の重要性が高まってきているから。
【3】世界的な環境問題や社会問題が企業の業績に大きな影響を与え始めてきているから。
【4】サプライチェーンでの人権問題が深刻化してきているから。
このように「非財務情報」も投資の判断材料の1つになってきています。
また、企業にとってESGに取り組むメリットは投資家の評価が上がるだけでなく、ESGの取り組みを指標として掲げ、積極的に事業活動に落とし込み、開示することで、長期的な収益性と企業価値の向上にもつなげることができます。
ESG投資の7つの投資手法
GSIA(=世界持続的投資連合)によると、一般的に以下の7つの手法でESG投資を行うのが効果的だと言われています。
◉7つのESG投資手法とその定義
【1】ネガティブ・スクリーニング
ネガティブ・スクリーニングとは、特定のセクターや企業を投資対象から除外する手法です。
例えば、タバコやカジノ、銃器などESGと対となるものには投資を行わないという投資手法です。
【2】ESGインテグレーション
ESGインテグレーションは、投資を始める際に投資対象を最初から絞るのでなく、「環境、社会、ガバナンス」といった「非財務情報」を体系的に組み込む手法です。
ESG投資の手法では最もポピュラーで現在主流となりつつある手法です。
【3】エンゲージメントと議決権行使
エンゲージメントと議決権行使を行う手法は、ESGの課題について、株主の立場から企業に対して議決権行使等を用いてESGに対応するように働きかけることを指します。
このように初期に投資判断を行うだけでなく、投資後の働きかけも重要な戦略となります。
【4】規範に基づくスクリーニング
規範に基づくスクリーニングとは、ESGの国際規範(OECD、ILO、UNICEF等の国際規範)に照らして、規範をクリアしない企業を投資対象から除外する手法です。
【5】ポジティブ・スクリーニング
ポジティブ・スクリーニングは、各セクター内でESGのパフォーマンスが優れている企業に投資する手法です。
環境環境や人権問題、ダイバーシティなどに積極的に取り組んでいるかどうかを判断材料にすることが多いです。
【6】サステナビリティに関するテーマ投資
サステナビリティに関するテーマ投資とは、サステナビリティ(持続可能性)をテーマとする事業や資産に対して投資する手法です。
近年注目されている、クリーンエネルギーやグリーンテクノ ロジー、持続可能な農業等が挙げられます。
【7】インパクト投資・コミュニティ投資
インパクト投資・コミュニティ投資とは、投資から得られる収益的なリターンのみだけでなく、社会問題・環境問題を解決することを目的として投資する手法です。
EGS投資のメリット・デメリット

いままでの投資は、財務諸表を読み込むことで、個人投資家でも株の購入するタイミングなど投資に関してをある程度判断することができました。
しかし、ESGという概念が広がったため、いままでの投資判断にはなかったような分析が必要となり、個人投資家が参入するハードルが高くなったと言われています。
そんなEGS投資にはどのようなメリット・デメリットがあるのか詳しく説明していきます。
EGS投資のメリット
EGS投資のメリット①|長期的な資産形成が実現する。
ESG投資は短期的なリターンを目的とするFXやデイトレードとは違い、長期的なリターンを獲得することに重きを置いた投資手法です。
ESG活動に取り組む多くの企業は、機関投資家のESG投資対象に選ばれる可能性が高く、中長期的な投資資金の流入を見込むことができます。
近年ではESG投資を組み入れる年金基金が増え始めている影響でESG投資の規模が大きくなっているため、個人投資家にとっても欠かせないテーマになっています。
EGS投資のメリット②|社会貢献の一助となる。
ESG投資は、地球環境や女性活躍に取り組む企業の後押しになることがあります。
また、地球環境への取り組みのために発行される「グリーンボンド」も増え始めています。
※グリーンボンドとは、企業や地方自治体などが、環境改善効果のあるプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券です。
「グリーンボンド」は企業の環境分野への取り組みをPRすることが出来るため、投資家だけでなく企業にとっても大きなメリットがあります。
EGS投資のデメリット
EGS投資のデメリット①|短期的なリターンが小さい。
一般的な投資は効率性やリターンの大きさなどを考慮して投資対象を選定しますが、ESG活動そのものが長期的な課題を解決するといった特性があるため、短期的な成果に結びつきづらいのがデメリットとして挙げられます。
とはいえ、環境問題や社会問題は避けては通れない問題です。
今後ますます地球環境に対する問題が注目される中で、ESGの価値基準をうまく取り入れている企業を投資対象として選定する必要があるのも実情です。
EGS投資のデメリット②|グリーンウォッシュが混ざっている場合がある。
グリーン・ウォッシュとはESGの活動に取り組んでいないにも関わらず、ESGに取り組んでいるように見せる行為です。
2021年8月には三井住友DSアセットマネジメント株式会社が以下のプレスリリースを出しています。
ESG投資の拡大を阻む『グリーンウォッシング』への対策が講じられることで、投資促進のための環境整備が今後一段と進むことになりそうです。
ESG投資|国内での取り組み事例
最後にソフトバンク社の取り組み事例を紹介します。
ソフトバンク社は2019年から本格的にESGを経営に取り入れはじめています。その中でも特に注目したいのが「次世代電池」です。
◉次世代電池とは?
日本の電池開発は、「電池寿命」と「安全性」を中心に開発が進んでいますが、ソフトバンク社は、従来の電池よりも半分の重さでエネルギー(Wh)が同じという電池開発にこだわっています。
つまり、高容量で軽量という特長を持つ「次世代電池」は、EV車の走行距離の増加、CO2ガスやコスト削減などを実現できることから、EVの大幅普及や、渋滞抑制、患者の緊急搬送問題の解決などにも役立てることができます。
また、今後5GやDX化が進むにつれ蓄電池は欠かすことができません。
蓄電池開発をソフトバンク社が牽引することにより様々な技術開発に挑むことができ、長期的な成長を果たすことができるのです。
特にプロの投資家は、10年先、20年先の社会の変化を見据えて投資対象を選びますが、まさにソフトバンク社の取り組みはそんな投資家からも期待される事業を構築しているお手本のような事業スタイルなのです。
まとめ|長期的な視野でESG投資に最適な企業を目指しましょう!

地球環境や社会問題が注目され、投資家にとって「非財務情報」が投資の判断材料の1つになってきている現代社会において、企業がESGに取り組むことは将来的に企業の成長に繋がる取り組みであるといえます。
是非とも本記事を参考に長期的な視点で目標を掲げ、企業と投資家がより良い方向に進むよう、ESGを経営に取り入れてみては如何でしょうか。