「デザイン哲学」とは?Appleの事例と併せて解説!

「デザイン哲学」とは、ビジネスの現場にデザイン思考(デザイナー特有の認知的思考)が活用されるべきであり、製品をデザインする場合にも、「哲学」が必要である、とする考え方です。

「哲学」とは「結論を導き出す論理的思考法」のことであり、古代ギリシャのアリストテレスにより説明された「帰納法」や、17~18世紀のヨーロッパにおいて発展したデカルトの「演繹法(えんえきほう)」が有名です。

デザイン思考の根底の哲学は、「人間はみんなクリエイティブだ」というものであり、自分の創造力を信じることが、イノベーションを起こす上での核となる考えです。

もちろん、デザイン思考を使えば、必ずイノベーションが起こるとか、ユニークなアイデアが生まれるというわけありませんが、デザイン思考をカスタマイズした手法や、哲学的に独自解釈したものなどが、ビジネスおよび製品デザインに広く活用され始めています。

帰納法と演繹法のビジネス活用 

「帰納法」とは複数の事実や事例から導き出される共通点をまとめ、共通点から分かる根拠をもとに結論を導き出す方法であり、導き出される結論が一般論になるのが基本です。

たとえば「北海道の天気が悪い」「東京の天気が悪い」「沖縄の景気が悪い」という3つの事実があったとする場合、これらに共通しているのは「天気が悪い」という事実です。

つまり、共通点から導き出される結論は「日本全体の天気が悪いのではないか」という推論(一般論)であり、北海道から沖縄までの天候が悪いとなれば、日本全体の天候が悪化していることは疑いようがありません。

ただし、注意点は、他にも導き出される結論があるかもしれないということであり、人によっては「日本海側は天気が良いかもしれない」「その3つの都市だけが天気が悪い」といった別の結論に至ることもあり得ます。

帰納法を使用して事業展開やビジネス活用を行う場合は、まず結論に導くための材料(メリット、デメリットなど)を集め、材料が多ければ多いほど最終的な結論を説得力のあるものにすることができます。

一方、「演繹法」とは、一般論と観察事項によって結論を導き出す思考法であり、例として、AとBによってCが導き出される方法(三段論法)とされます。

例えば、

「A:デザートは百貨店で購入することができる」という一般論があったとして、

「B:ケーキはデザートである」という観察事項があるとする場合、導き出される結論は、

「C:ケーキはは百貨店で購入することができる」ということになります。

つまり三段論法はA一般的仮定→B観測事実→C結果という3段階に分かれて結論を導き出すもので、既に決められているルールや法則を、あるケースに当てはめてみた結果、「ルールや一般的な法則に合致しているかどうか」で結論付けられます。

よく帰納法が引き合いに出されますが、帰納法は複数の事例をもとに共通点を導き出したうえで根拠に基づいた結論を導き出すものであり、演繹法とは手法が違うものの、より正確な結論を導き出すために演繹法と帰納法を同時に行うケースもよくあります。

アブダクションとデザイン思考

「アブダクション」とは演繹法や帰納法と並ぶ推論方法で、ある結論がどうして出たのかわからないときにそれが正しいのかを論じるための方法であり、ユーザー視点でイノベーションが起きる仮説=「アイデア」を発想する「デザイン思考」と共通点の多い哲学です。

驚くべき結果(イノベーション)があり、なぜそのような結果になったのかについて仮説を構築し、その仮説が正しければ、確かにそういった事実があったとしても、うなずくことができるというプロセスを踏むのが「アブダクション」といわれる推論法です。

例えばJINSという企業は2011年からブルーライトをカットする機能が設けられたメガネを開発し、「目を保護するためにメガネを使う」という新たなニーズを掘り起こすことに成功し、市場にイノベーションを起こしました。

【観測できる事実】パソコンで仕事を長時間する人は眼鏡をかけている。

【普遍的な事象】メガネは視力矯正のために使うもの。

【推論】目を保護するためにメガネを使う。

「アブダクション」は「観測できる事実」や「普遍的な事象」から「推論=アイデア」を出し合うことで、新たな結論(新たなニーズ)を導き出す推論法であるため、ユーザーになりきる→仮説を立てる=アイデアを出す→事実を検証するという、デザイン思考の流れと似ています。

また「帰納法」と「演繹法」では推定していく過程においては論理的に思考を展開するのに対して、「アブダクション」は推論過程で使われる仮定を「ひらめき」や「想像力」という人の感性を主軸に推論を進めていくという違いがあります。

デザイン思考についての記事はこちらから

Appleのデザイン哲学

言わずと知れた故スティーブ・ジョブズ氏の牽引で有名なApple社は、革命的な製品を作り出すことに注力し、iMac,、iPod,、iPhoneなど、次々に世の中にインパクトを与える製品をリリースし、世界の先進的企業の地位を.獲得しました.。

その最たる要因が製品の「デザイン」にあることは明らかであり、製品のデザイン性から経営におけるデザイン的思考の活用など、ビジネスにおけるデザインの重要性を具体的な成果として示しています。

1. 細部へのこだわり

ただ単に、こだわりを持つだけではなく、ある意味「狂気じみた」こだわりをプロダクトに忍ばせることを追求し、ユーザーに「やられた!」と思わせるほどのインパクトを与えることに成功しています。

例えば、2世代目のiMacの通常であれば見ることのほどんどないような、本体の裏面にもこっそりとAppleのロゴの刻印が刻み込まれ、通常の発想では無駄でコスト高に思われるとこらにも狂気のこだわりが隠されています。

2. ユーザーの心情を理解し共感する

Apple社では、「何を」作るかよりも、「なぜ」作るかに重点を置き、解決するべきユーザーの使用上の問題に共感し、しっかりと理解することから製品のデザインをスタートさせています。

例えば、初期のiMacの場合、多くのユーザーがリビングにパソコンを置くことを前提に、インテリアとしての役割を持たせ、「パソコン = 四角いベージュの物体」の前提条件を打ち崩し「グリーンの半透明の一体型パソコン」を開発しました。

3. フォーカスを合わせる

ジョブス氏は復帰後にまず製品ラインを整理し、それまで様々なユーザー向けに複数のプロダクトをリリースしていたのをバッサリと切り捨て、本当にフォーカスすべきユーザーを定め、一旦全てをリセットしました。

4. 親しみやすさ

Appleの製品にはなぜか見た目のデザインだけではなく、例えば、スリープモードに入ると寝息をしているように光るMacのライトや、子供のように跳ねるアプリケーションのアイコンなど、細かな演出が製品に「人間味」を与えています。

5. とことんシンプル

Apple製品の最も優れているところは、そのシンプル性であり、これ以上削る要素がない状態こそが完成とされるため、ユーザーは迷いが少なくなり、安心感を感じます。

これこそがデザインが行う役割であり、Appleの製品全てにおいて、極限までその機能を絞り込み、研ぎ澄まされた物だけをリリースしています。

まとめ

アップルやグーグルなど欧米の先進的な企業でも近年、「インハウス・フィロソファー」(顧問哲学者)を雇用しており、近年の予測不能なビジネス環境において「哲学」が重視されていることがわかります。

IoTやAI(人工知能)がさらに普及すると、倫理学的な視点が必要になり、答えのない課題に立ち向かうスキルとして「哲学」が有用になる時代ととらえることもできます。

物がない方がより豊かだという「ミニマリズム」の考え方が物質主義のアメリカでも広まっており、多少不便なほうが、情緒やロマンがあって良しとする価値観が台頭してきています。

物が足りない時代は「役に立つもの」が正解でしたが、いまはそれらは評価されなくなり「意味的な価値」を持つものが求められるようになった今、デザイン思考と哲学をかけ合わせた「デザイン哲学」が必要とされています。

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