さまざまな商品やサービスが誕生している中で、マーケティングの役割は非常に重要になってきました。日本ではあまり普及していませんが、海外では企業にマーケティングの専門家をCMOとして起用することは珍しくありません。
そこで、今後日本でも注目されていくであろうCMOという役職はどのような役職なのか、必要とされる役割からスキル、他の役職との違いを解説します。
CMOとは?

CMOとは「Chief Marketing Officer(チーフマーケティングオフィサー)」の頭文字をとった役職のことです。
日本語に表すと、「最高マーケティング責任者」という意味になります。
マーケティングと聞くと、専門の部署が考えた戦略を実行するイメージが強いと思いますが、CMOは違います。
部署の垣根を越えて、マーケティングを行い、実行するために存在する役職です。
CMOの代表的な例でいうと、ケンタッキーフライドチキンでお馴染みの日本KFCホールディングス株式会社が2018年にCMOを起用したことで、
業績を短期間で回復、好調させたことで、メディアに取り上げられたことがあります。
それほど、CMOという役職は企業において重要な役職です。
CMOに期待される役割
CMOは社内の最高マーケティング責任者のことをいいます。
とても重要な役職ですが、そのCMOにはどんな役割が期待されているのでしょうか?
ここでは、その役割を3つ紹介します。
企業の経営戦略をマーケティング戦略へと落とし込む
CMOはマーケティングにおける最高責任者であると同時に、企業の経営層としての役割も担っています。
企業の要である経営戦略を理解することはもちろん、企業は保有している資産である、ヒト・モノ・金・情報・時間やブランド力といったものと結びつけてマーケティング戦略へ落とし込む必要があります。
ただ落とし込むだけでなく、その効果を最大限に発揮できるように、現場のことも理解してメンバー達と同じ方向を向くことも重要です。
部署の垣根を越えた戦略・実行を行う
マーケティングを行うのは、マーケティング部門だけではありません。
CMOはマーケティング部門に限らず、さまざまな部門の声を聞き戦略を練り、実行する必要があります。
例えば、企業のカスタマー部門にはお客様のリアルな声が届きます。
その声をサービス・商品開発部門に届け、改善あるいは声を生かしたサービス・商品の開発を指示し、広報部門ではそれをどのように認知させる宣伝活動を行うかを検討させるようにします。
このように、部門の垣根を越えて、部門を連携させながら企業価値を高めていく戦略と実行力が重要です。
社内外問わず、利害関係者と関係を築く
CMOとは企業の経営層でもあり、マーケティングにおける最高責任者でもあるため、企業の顔としての立場も存在しています。
そのため、社内の部門だけでなく、取引先企業や競合企業、お客様などの利害関係者との関係性の構築は欠かせません。
また、全てのプロジェクトは一人では成り立たず、多くの人の支えによって成り立っています。
企業が持つ資産を最大限に活用するためにも、社外の内外問わず、利害関係者には一貫したコミュニケーションで接する努力はとても大切です。
CMOに必要なスキル

マーケティングにおける最高責任者であり、企業の経営層でもあるCMOには誰もがなれるわけではありません。
では、CMOに必要なスキルはどんなものがあるのでしょうか?ここでは、3つ紹介します。
データを分析し、迅速に意思決定するスキル
CMOは顧客分析ツールを使用して、顧客の行動心理やサービス・商品の売れ行き傾向のデータを分析する力が必要になります。
これらのデータをしっかりと分析し、どのデータが今必要なデータなのか、どのデータ判断材料として、次の戦略への意思決定につなげれば、最大の効果を発揮できるかを常に考えていくことも大切です。
日常的に、データを分析して、都度方向性を修正し、結果が出なければ、次の意思決定を行うなど、分析や判断の速さはCMOには欠かせません。
コミュニケーションスキルとリーダーシップスキル
企業のマーケティングは一人では限界があります。
さまざまな部門と協力してこそ、マーケティングは最大の効果を発揮します。
そのため、より円滑に物事を進めるために高いコミュニケーションスキルは欠かせません。
コミュニケーションスキルが高いほど、社内外問わずに協力を得やすくなります。
また、高いリーダーシップスキルも非常に重要です。
マーケティングの精鋭を率いて、企業の問題に取り組むからこそ、社員に信頼してもらい戦略の舵が取れる。
リーダーシップスキルがなければ、社員はついてこず最大の効果は得られないでしょう。
マーケティングのトップとして積極的に社員を引っ張っていく点では、必要不可欠な能力といえます。
顧客のことを考え抜くスキル
企業において、顧客の存在はとても大切な存在です。
商品は作れば売れる時代から、どの企業から買うかという顧客が選択する時代になりました。
その結果、ただ作るだけの企業では商品は売れなくなっているのが現状です。
商品を売るためには、顧客がどんな場面で何を考えて商品を選択してるのかという視点が非常に重要になります。
顧客の声を聞いてサービス・商品を開発する以前に、制作段階でどんな商品だと顧客にとって共感が生まれ、購買につながるのかという顧客の気持ちを考え抜くスキルが必須です。
企業の中だけではわかりづらいことだからこそ、CMOにはより高いレベルで顧客のことを考え抜くことが求められます。
CMOと名前が似ている他の役職と違いを解説
経営層にはCMOと名前が似ている役職がいくつか存在します。
ここでは、その役職を4つ紹介し、CMOとの違いも合わせて紹介します。
CEO
「Chief Executive Officer」の略で、日本語では「最高経営責任者」を意味します。
一般的には、会社の社長を意味しており、会社のトップであることを表す際に使用されています。
CMOはマーケティングの最高責任者ですが、CEOは会社全体の責任者であるため立場上全ての責任者のトップです。
COO
「Chief Operating Officer」の略で、日本語では「最高執行責任者」を意味します。
CEOが存在する場合は、CEOの下で企業を支える会社のナンバー2として認識されています。
主な役割としては、全ての業務を執行する立場にあるため、CMOやCFO、CTOなどの最高責任者を統括します。
CFO
「Chief Financial Officer」の略で、日本語では「最高財務責任者」を意味します。
財務責任者の名の通り、企業の財務における全てを担う役職です。
企業の価値を上げるためにも、世界を基準とした財務管理を行う必要があります。
また、財務というとても重要な立場を任されているからこそ近年は、COOと並ぶほどの地位とも言われています。
CTO
「Chief Technology(Technical) Officer」の略で、日本語では「最高技術責任者」を意味します。
技術部門、開発部門のトップとしてIT企業を中心に起用されています。
技術の面で会社を支えて、新規事業の際などは技術の選定から実行までの最終的な意思決定を行う立場です。
まとめ

CMOは企業のマーケティングにおける最高責任者であり、その役割は多岐に渡ります。
ただマーケティングの知識に精通していればいいだけでなく、企業戦略を理解してマーケティング戦略へと昇華させる役割があったり、高いコミュニケーションスキルやリーダーシップスキルが求められる非常に重要な役職です。
日本ではまだまだ聞き慣れませんが、早い段階からCMOを起用して企業価値を高めていきましょう。