最近、中小企業の間でますますその重要性が、注目されている企業ブランディング。
オムニチャネル化(※1)が進む現代において、事業の成長や差別化を行うためにも企業ブランディングは、経営戦略として欠かせないものになりつつあります。
今回は、その企業ブランディングを進める上で重要な「ブランドメッセージ」をテーマに解説していきたいと思います。
※1:オムニチャネル化とは、企業とユーザーとの接点となるチャネル(Webサイトなど流入経路)を複数設け、ユーザーにアプローチする戦略のこと。
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ブランディングの核となる「ブランドメッセージ」とは

まず、ブランディングとは、自社のターゲットとなるお客様に良好なイメージ(価値)を持ってもらうために行うものです。
そしてその「価値」は目に見えないからこそ、「言葉」で定義していくことが必要になってきます。
特に、最近はサービスやコンテンツが溢れていて、お客様は何を基準に選べば良いかわからない状態になっています。
そんな市場の中で、ブランディングを行い「際立つ存在」になることで、そのサービス・コンテンツを「選ぶ」動機(きっかけ)を、お客様に持ってもらうことができます。
つまり、ブランディングを行って、市場の中で「際立つ存在」としてポジショニングしていくことで、市場の価格競争に巻き込まれにくい状況を作り出すことができるのです。
加えて、「ブランドメッセージ」とは文字通りブランドが持つ「価値」を言語化しメッセージとして伝えていくものです。
4種類のブランドメッセージ
企業のブランドメッセージを紐解いていくと4種類に分類することができますので、それぞれの型をご紹介させて頂きます。
1.USPを訴求するメッセージ
USP(Unique Selling Proposition)とは、ブランドが持つ「強み」や「ウリ」を意味するマーケティング用語です。
▼例えば以下の訴求がUSPに該当します。
・創業〇〇年
・業界シェア率No,1
・〇〇以上のコンテンツ数!
・業界最安値!
このように、ブランドの「ウリ」を訴求することで、お客様の信頼を獲得することができます。
具体的な事例は以下のとおりです。
【1】ダイソン:「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」
【2】Apple:「ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを」
【3】QBカット:「ヘアカット1000円 所要時間10分」
2.事業内容をダイレクトに伝えるブランドメッセージ
ブランドの中には、ブランド名を訴求しても「何の会社かわからない」「結局なんの会社なの?」といった、事業内容がわかりにくい場合があります。
そこで、ブランドメッセージで事業内容をダイレクトに伝える方法があります。
例えば、以下の企業が該当します。
【1】ダイキン:「空気で答えを出す会社」
【2】YKK AP:「窓を変える会社」
このようにダイレクトに事業内容を伝えることで、アルファベット表記のブランド名でも、事業イメージを持ってもらいやすくなります。
3.お客様とブランドの距離感を示すブランドメッセージ
ブランドメッセージの中には、お客様とブランドの距離感を示すメッセージもあります。
例えば、以下の企業が該当します。
【1】ファミリーマート:「あなたと、コンビに、ファミリーマート」
【2】ロッテ:「お口の恋人」
【3】株式会社トンボ鉛筆:「これからも人間のそばを離れない」
主に小売業で使われることが多く、お客様との距離感をダイレクトに伝えることで、親近感を持ってもらえるというメリットがあります。
4.ブランドの「想い」を訴求するブランドメッセージ
最後は、ブランドの「想い」を訴求するメッセージです。
例えば、以下の企業が該当します。
【1】小林製薬:「あったらいいな をカタチにする」
【2】タワーレコード:「NO MUSIC NO LIFE」
【3】キッコーマン株式会社:「おいしい記憶をつくりたい。」
このように、ブランドの「想い」をダイレクトに訴求することで、お客様に共感してもらいやすくなります。
ブランドメッセージの重要視されている理由

ここまで、ブランドメッセージの意味や、ブランドメッセージの型を紹介させて頂きました。
なぜ、そこまでブランドメッセージが重要視されているのでしょうか?
ここからは、その理由を解説していきます。
前述で解説したとおり、ブランドメッセージはブランドが持つ「価値」を言語化し、メッセージとして伝えていく役割を担っています。
特に、中小企業の場合は、大企業とは違い、ブランディングで認知度を高めるための予算やリソースには限りがあります。
また、有名企業とは違い地方の中小企業のブランドは、ブランド名を見ても「何のブランドなのかわからない…。」と思われてしまうことも、多々あります。
そこで、ブランドメッセージを作りブランディングを行なっていくことで、わかりやすくブランドの価値や世界観を伝えられるようになり、地方の中小企業であったとしても「〇〇といえばこのブランド!」といったポジショニングを行うことが可能になります。
つまり、ブランドメッセージは企業の規模問わず今最も重要視されている経営手法と言えます。
ブランドメッセージの作り方
企業がブランディングを行い「ブランドメッセージ」を考える際、社内に優秀なコピーライターがいれば良いのですが、そういうケースは滅多にありません。
つまり「ブランドメッセージ」を考えるとなると、外注するか社内で自作するという方法をとることになりますが、「思っていたのとちがう…」「本当にこれで良いのか?」と不安に思うこともあると思います。
そこで、ブランドメッセージを作るにあたって、気をつけたいポイントについて、まとめましたので、参考にして頂ければと思います。
ブランドメッセージ9つのポイント
①お客様の課題解決に向かっているか?
→ブランドを利用することで得られる効果を訴求
②ブランドの「らしさ」がイメージできるコピーになっているか?
→メッセージからブランドイメージを連想させる。
③すでに使われているメッセージではないか?
→商標/権利関係の調査を行う。
④身内ノリになっていないか?社内でしか、使われていない言葉になっていないか?
→社内でしか使っていない言葉になっていなか?社外向けの言葉を使う。
⑤求心力はあるか?
→お客様の心を掴む愛着のあるメッセージにする。
⑥紛らわしい内容になっていないか?
→考えなくても理解できる、シンプルなメッセージにする。
⑦日常会話に、溶け込みやすいメッセージになっているか?
→実際に日常で使うシーンを、イメージして作る。
⑧文字の見た目は整えられているか?
→文字数のバランスや漢字・ひらがなの配合バランス等など見た目も整える。
⑨ロゴとの相性など存在感のあるメッセージになっているか?
→ロゴと組み合わせたときのバランスも考慮する。
まず、これらの内容を網羅しブランドのバリュー(独自価値)を伝えていきましょう。
加えて、メッセージを作る際は、お客様が「ブランドのどの部分に興味を抱いてくれそうか?」という視点が大切になっていきます。
ブランドの価値を言語化していくので、普段使わないような言葉や耳にしない言葉を使っても意味がありません。
ブランドのターゲットとなるお客様をイメージし、そのお客様が普段使っている言葉を意識することで共感形成を図っていくことがポイントとなります。
まとめ

今回は「ブランドメッセージ」をテーマにして解説してきました。
ブランドメッセージは、ブランドが持つ「価値」を言語化しメッセージとして伝えていく役割を担っています。
そして、「ブランドメッセージ」を考える上で、ターゲットとなるお客様が普段使いそうな言葉を使うことで共感性の高いメッセージになります。
また、伝え方においても、「USPを訴求するのか」、「共感軸でメッセージにしていくのか」、あるいは「ダイレクトにブランドの想いを伝えていくのか」によって、メッセージの雰囲気も変わってくるため、「伝え方」においてもしっかり考える必要があります。
ブランドメッセージは、企業がブランディングを行う上で核となる部分ですので、ぜひ本記事を参考に自社のブランドにぴったりのブランドメッセージを考えてみてはいかがでしょうか!