企業がブランディングを行う際によく耳にするブランドストーリーという言葉。
多くの企業がブランディングを行う際、HPリニューアルやロゴデザインに力を入れがちですが、本来ブランドが持つストーリーを軸にブランディングを行うことが重要です。
そこで今回はブランドストーリーの意味や重要性、企業の成功事例をご紹介させて頂きます。
ブランドストーリーとは

ブランドストーリーとは、自社のブランド価値を伝えるためのコンテンツです。
単にWebサイトに載せる「創業秘話」を連想しがちですが、それだけではありません。お客様から「共感」を得てブランドのファンになってもらうことを目的として作るものです。
そしてブランドの価値は「機能的価値(※1)」「情緒的価値(※2)」「自己表現的価値(※3)」「社会的価値(※4)」の4つに分類され、これらの価値を考慮した上でブランドストーリーを作る必要があります。
(※1)機能的価値:ブランドが持つ基本的な機能価値
(※2)情緒的価値:ブランドから受ける印象(イメージ)に対する価値
(※3)自己表現的価値:ブランドを所有することでお客様の価値観やスタイルを表現できる価値
(※4)社会的価値:ブランドを所有することで社会的集団やコミュニティに所属することができる価値
ブランドストーリーの重要性
続いては、ブランドストーリーの重要性について解説していきます。
今の成熟期を迎えている市場を見渡せば分かる通り、「似た機能、似た価格帯の商品」は沢山あります。
そんな市場の中で「機能的価値」を重視していても、他社競合と差別化を図るのは困難です。
加えて、価格競争に巻き込まれてしまった場合、「安さがウリ」のブランドは価格帯以外の部分で差別化を図ることができません。
このような機能的価値で差別化が難しい場合、そのほかの価値で差別化を図る必要があります。
特に、最近の消費者は「心の豊かさ」や「心の充実度」を優先してブランドを選ぶ傾向にあると言われています。
単に「価格が安い」といった理由でなく、自分のライフスタイルや価値観に見合ったブランドを選ぶ傾向にあるため、昔と比べて消費行動は変化していると言えます。
つまり、ブランドストーリーの構築は、変化する消費行動に応えるための手法として重要視されているのです。
ブランドストーリーの作り方

ここまでブランドストーリーの意味や重要性について解説してきました。
ここからは、お客様の心を掴むためのブランドストーリーの作り方について解説していきたいと思います。
STEP1.ターゲットを明確にする
まずは、ブランドを「誰に使ってもらいたいか?」を検討します。
なぜなら、ターゲットを明確にすることで具体的なストーリーを、お客様に伝えることができるからです。
また、ターゲットが明確になれば、お客様のニーズを捉えることができるため、抱えている課題の抽出も可能となります。
STEP2.お客様に約束できる価値を洗い出す
続いては、ブランドがお客様に約束できる提供価値を洗い出します。
ブランドのストーリーを構成する上で、提供できる価値を洗い出しライバル企業との違いを明確にすることで、市場での差別化が実現し自社のブランドを選んでもらえるきっかけを作ることができます。
STEP3.お客様にの心に訴えかけるストーリーを作る
ターゲットとブランドの提供価値が明確になったら、次はストーリーを構成していきます。
ストーリーを作る上でのポイントは、シンプルに心に訴えかけるストーリーを目指しましょう。
例えば、長文よりもシンプルな短文の方が効果的です。
そもそも、現代人はとても忙しいです。
初見のブランドのストーリーにそこまで立ち止まってくれません。
直感的に、短くお客様の心に訴えかけるストーリーを掘り起こしましょう。
STEP4.ストーリーに根拠を補足する
続いては、ストーリーの根拠を補足します。
他社との比較し、検討段階にあるお客様に最後の決め手となる根拠を提示します。
ブランドの実績や効果などを示すことで、迷いのあるお客様に一歩踏み出すきっかけを作ることができます。
先述した通り、お客さまが初めて見るブランドに費やす時間は、ほんの僅かです。
その短い時間の中でお客様を惹きつけ、購入までつなげるためにはどのようなストーリーと根拠が必要かを納得のいくまで考える必要があります。
ブランドストーリーを効果的に用いて成功した企業の事例
最後にブランドストーリーを効果的に行っている企業の成功事例を紹介します。
事例1.Red Bull
エナジードリンクブランド「Red Bull」はブランドストーリーを効果的に行っているブランドの一つです。
例えば、リポビタンDの「タウリン1,000mg配合!」のように、従来のエナジードリンクは成分を訴求する宣伝がメインでした。
しかし、Red Bullは「レッドブル、翼をさずける」のワンフレーズのみで、宣伝活動を行っています。
テレビCMでも、登場人物がレッドブルを飲むことで力がみなぎる様子が描かれています。
これは、つまり「レッドブルを飲めば劇的にパフォーマンスを発揮できる!」というストーリーを消費者に訴えかけているということです。
また、数多くのスポーツのスポンサー活動を行っていることから「レッドブルを口にすることで限界まで競技にチャレンジできる」といったストーリーも訴求しています。
このように、従来の「エナジードリンクの成分」を紹介するといった「機能的価値」を訴求するのでなく、お客様のライフスタイルや共感に寄り添ったストーリーを構築することで、ブランドの価値を高めている事例と言えます。
事例2.Apple
続いて、ブランドのストーリー作りで世界を制したのが、Appleと言われています。
生前スティーブ・ジョブスは下記のように語っています。
“世界で最も偉大な存在は「ストーリーテラー」だろう。ストーリーテラーはこれからの世代の人たち全体のビジョン、価値観、そして進むべき方向を示す存在である。”
確かに、ジョブスのプレゼンを聞くと、10万円以上するiPhoneもなぜか買ってしまうし、Appleというブランド、ひいては企業の価値を何十倍にも魅力的に伝える威力がありますよね。
ブランドストーリーを伝えるのは、Webやコンテンツだけに留まりません。
ジョブズのようにブランドの「ストーリー」を発信し続けることにより、サービスに対してのファンが増え、それが顧客・訪問者数の時間獲得に繋げることも可能です。
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事例3.Nike(ナイキ)
スポーツ関連の靴やアパレルの販売を行うNIke(ナイキ)のミッションは「世界中のすべてのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらすこと」です。
「人は皆アスリートであり、コートやフィールドでスターになる必要はない」
「スポーツは国境を超えた世界共通言語で、他者と競争するものでなく、常に自分との戦いである」
など、NIke(ナイキ)は、スポーツを通して、誰もが共感できる「自分自身との闘い」をストーリーとして伝えています。
人が、自発的に行動を起こすように鼓舞することで、「勝利の感覚」を誰にでも味合わせてくれるブランドと言えます。
事例4.Amazon(アマゾン)
レッドブル同様、従来の宣伝方法とは異なる手法でブランドを訴求しているのがAmazon(アマゾン)です。
例えばこちらのアマゾンプライムのCMをご覧ください。
一般的なCMは、機能的価値を全面に押し出して価格や機能を中心に商品紹介を行います。
しかし、アマゾンプライムのCMは機能や価格の説明を全く行いません。
行っているのは「幸せな風景」の訴求のみです。
「アマゾンプライムを利用することでどのような未来が待っているのか?」と視聴者に想像させることでブランドのストーリーを伝えています。
もはや、ブランドの価値を伝えるのに言葉は必要なく、プロモーション動画のみで人の情緒に訴えかけている成功事例と言えます。
まとめ

今回は、ブランドストーリーの意味や重要性、企業の成功事例をご紹介させて頂きました。
似たようなサービスやコンテンツが溢れる市場の中で、単に機能や価格で差別化を図ったとしても生き残ることは困難です。
ブランドの価値を強化するためには、ブランドが持つストーリーや人の心を掴む「共感」が重要です。
ぜひ本記事を参考に自社のブランドにぴったりのストーリーを考えてみてはいかがでしょうか!