仕事と生活は対立させない!「ワークインライフ」とはどのような考え方か

 近年では、仕事と生活とを明確に場所や時間で切り分けるのではなく、「いつでもどこでも」働くことが可能になりました。

 働く時間と生活の時間をしっかり分けるという「ワークライフバランス」という言葉が以前からありましたが、近年では「ワークインライフ」と呼ばれる考え方も普及しつつあります。

 ワークインライフとは、どのような考え方で、そこにはどのような課題があるのか、この記事では現代の働き方に浸透しつつあるワークインライフについて解説していきます。

また、「ワーク」の部分を司る企業が、従業員のワークインライフにどのように関わることができるかについても、併せて解説します。

ワークインライフとはどのような考え方か

 ワークインライフとは、一言で説明すれば「人生・生活の中に仕事を取り込む」という考え方です。

 より細かく言うと、仕事(ワーク)を人生・生活(ライフ)の一部と捉え、自分自身の働き方を選択し調和させる、という働き方の姿のことです。

 仕事と生活を人生の中で見た時に、「仕事のために生活が圧迫される」「生活を最優先した結果、就きたい仕事に就けない」というように両者を対立させるものではありません。

 いずれも、自分の人生の中のひとつの「ピース」であると考えます。

 家族、自分の趣味、自分の学習や研究、自己実現、友人、そして仕事というように、それぞれのピースがあってはじめて自分の人生が完成した一枚の絵のように出来上がる、それをいかに調和させるのかという考え方です。

ワークライフバランスとワークインライフは何が違うのか

 ワークライフバランスとは、「ワーク(仕事)」と「生活(ライフ)」とを分けてバランスを取るという考え方です。

一方で、ワークインライフは、先ほど説明したすべてのピースのバランスをとって人生をデザインするという考え方です。

どちらも、人生という有限のものの中で、仕事や生活をどのように割り振るのかというアプローチではあります。

 しかしながら、「ワークライフバランス」という言葉は、言外に「ワークの優先度を上げてライフの優先度を下げる」「ライフの優先度を上げてワークの優先度を下げる」というようにトレードオフの関係を想定しています。

 これは、ワークライフバランスという言葉が「働き方改革」という概念が、世の中で普及していく中で広まった考え方であるためです。

それに対して、ワークインライフは人生の中での様々な行動を調和させ、それによって人生が出来上がっていくとする考え方です。

つまり、ワークとライフはトレードオフ、あるいは対立構造ではなく、いずれも人生の中で欠かせないピースだとする考え方です。

ワークインライフは従業員の気持ちの問題ではない

「ワークインライフは、仕事と生活とがいずれも人生の一部とする考え方なので、従業員がこの考え方になってくれればよいと考える経営者は少なくないでしょう。

 しかしワークインライフは、「仕事が生活の中の一部であるから、仕事と生活とのバランスなど考えず会社や仕事に注力するように」というような、かつての「やりがい最優先」という考え方ではありません。

 ワークインライフはあくまで、ワークとライフを人生の中で調和させる考え方です。

あくまで、ワークとライフと対立させるのではなく、いずれもが自分の人生の一部で、そのいずれをも最適な形で実現することで人生をデザインする、という考え方なのです。

現代の「働きやすさ」とワークインライフ

 ワークインライフは、人生の要素の中のひとつとしての仕事という捉え方をします。

 そのため、「働きやすさ」について考えることが、仕事の選択のうえで重要となります。

「働きやすさ」という価値観には、人により様々な基準がありますが、特にワークインライフの視点に立った「働きやすさ」とは、「自分の人生の中に取り入れられる仕事であるかどうか」という考え方が理解しやすいでしょう。

 かつては「働きやすい職場」というと、「上司に意見が言いやすい」「職場の人間関係が良い」「清潔で便利なオフィス」などが挙げられましたが、これらは従業員個々の生活や人生に着目したものではなく、あくまで企業側が整備できるものに着目した「働きやすさ」でした。

ワークインライフという考え方における「働きやすさ」は、社員・従業員一人一人の人生設計に着目するというものです。

人には様々な事情があり、育児や介護をしている従業員は、いくらオフィスが綺麗であっても「働きやすい」とは言い難い職場となります。

なかには、クリエイティブな仕事に集中してパフォーマンスを出したいのに、雑務から逃れられないオフィスでの働き方をしなければならないという従業員もいるでしょう。

ワークインライフとは「選択して調和すること」

 企業が従業員を採用の場で「選ぶ」ように、従業員もまた人生の中で、仕事や会社を「選ぶ」ことがワークインライフの大前提です。

 これは、従業員の自意識や目線という話ではありません。

 従業員一人一人が就業先を選ぶ際に、自分の理想とする人生を送るためには、どのような仕事や働き方を選ぶのかという点に着目します。

かつてのように、 就業先の命令や指示こそが最優先であり、その実現のためにライフ(人生)を犠牲にする、優先度を下げる、というのは、ワークインライフの考え方とは明確に異なります。

 従業員が、ワークインライフを実現させるには、「自分の人生をデザインするのは自分自身である」という自覚のもと、その一要素として会社や仕事を見ることが必要になります。

結果的に、 自分の人生において実現したい要素と仕事を検討した結果、「現在の仕事を継続することが難しい」という結論に達したのであれば、従業員自身が別の選択肢を検討することも、不思議ではないでしょう。

企業は「ワークインライフ」のために何ができるか

 企業は、これまでのように全社員を画一的に扱うのではなく、個々の人生や生活、事情に合わせた最適な働き方を従業員の側が選択できる「選択肢」を提供していくことが必要になります。

 現代では、インターネット回線を通して、リアルタイムなビデオ通信が可能となり、PCやカメラといった機材さえあれば、場所を選ばず仕事を進めることができるようになりました。

 加えて、業務ファイルの受け渡しについても、クラウドサービスやファイル転送サービスを利用することにより、時間的遅延が起きづらくなり、スムーズに受け渡しを行うことが可能です。

 企業は、従業員を従来のように、オフィスに一定時間出社させ、同じ環境下で仕事をさせることが、本当に必要なことであるかどうかを、再検討する必要があるでしょう。

 オフィスに出社することができないために、成果を出すことができない従業員が、自宅で仕事をして同等以上の成果を出すことができるのなら、企業としてはその環境を整備するほうが合理的です。

企業にとって、ワークインライフを実現するために最も重要なのが、ワークを最高の形で取り組むことができる、場所や時間の選択肢を提示することです。

まとめ

 仕事と生活とを対立させ、どちらかの優先度を上げ下げするという考え方に、立脚した「ワークライフバランス」から、現代では「いずれの要素も人生のひとつのピースである」という「ワークインライフ」という考え方が普及しつつあります。

 ワークインライフは、自分にとって最適なものを選択して調和させ、最終的に自分の人生を自分の手でデザインしていくという考え方です。

 人生の一部である「仕事」つまりワークの部分を従業員に提示する立場である企業は、従業員の人生の一部に関わっていくことになります。

従業員が自分自身で、選択することができる選択肢を用意し、従業員自身が「この仕事こそが自分の人生と調和する企業だ」という考えに至ることができれば、企業・従業員双方にとってよい結果となるでしょう。

ワークインライフを取り入れ、新たな働き方を生み出してみてはいかがでしょうか。

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