フリーアドレスとは?メリットやデメリットを導入手順とともに解説

新型コロナウイルスの流行以降、リモートワークの普及が進んだことにより、企業イメージや人材採用において、「リモートワークが可能かどうか」という条件が重要視されるようになりました。

近年では、そういった需要に答えるように、リモートワークを導入する企業が増加し、その働き方の変化に応じて「フリーアドレス」を導入する企業も多く存在します。

この記事では、フリーアドレスとは何なのか、そのメリット、デメリットを解説いたします。

フリーアドレスとは?

フリーアドレスとは、従業員がそれぞれの固定された席を持たず、その日の業務内容に合わせて、働く座席を自由に選択できるワークスタイルのことです。

「フリーアドレス」という言葉自体は、1987年3月に「清水建設」の技術研究所にて生まれたと言われています。

従来までの働き方は、オフィス内に自分専用の決められた席があり、毎日その席で業務を行うのが主流でした。

しかし、フリーアドレスが流行すると共に、オフィス内に大きな机や椅子が設置されていたり、中にはソファなどがあるカフェのようなスペースを設置する会社も出てきました。

従業員は、その中から空いている好きな席を選んで仕事をすることができます。

フリーアドレスと聞くと、IT企業やベンチャー企業などの比較的自由度が高く、最近の会社が導入しているイメージがありますが、最近では中央省庁を始めとして、多くの企業で採用されているワークスタイルでもあります。

フリーアドレスのメリット

フリーアドレスを導入することにはさまざまなメリットがあります。

ここからはフリーアドレスが企業に与えるメリットについて解説していきます。

組織変更や、急な人数変更の増減にも柔軟に対応できる

フリーアドレスの場合、席に座る人は決まっていないので、組織の変更や急な人数の増減にも柔軟に対応することができます。

固定席の場合、人員の増減があるたびに個人の荷物整理や、新しいデスクの用意など、準備が必要になるものが多く存在します。

しかしながら、フリーアドレスを導入している場合は、もともとデスクに荷物は何もない状態であり、その時に空いている席を自由に使うことができます。

したがって、個人用ロッカーなどの最低限の準備さえすれば、急な人員の増加にも柔軟に対応することが可能になります。

コミュニケーションの促進によるアイデアの創造

フリーアドレスを導入すると、普段は関わることのない、他部署の人とコミュニケーションをとる機会が自然と増えることになります。

さまざまな人とコミュニケーションをとることで、自分ひとりで考えていたアイデアやプランに対して、多様な価値観を持った人からの意見を聞くことができます。

その結果、自分ひとりでは思いつかないような、オリジナリティ溢れたアイデアの創造に繋がる可能性もあります。

今まで気づかなかった価値に気づいたり、新しい価値を見出すことができれば、企業の存在価値そのものを底上げすることにも繋がるでしょう。

従業員の主体的行動力と決断力の向上

固定席の場合、毎日決められた席で、何気なく業務に取り掛かっている従業員もいるかもしれません。

フリーアドレスを導入することで、今日はどの席に座るのか、自分が選んだ席に座って何をするのか、周りにどんな人がいて、どのように関わっていくかなど、働きやすい環境を考慮して仕事に取り組むことができます。

それにより、自分で考えて行動する「主体的行動力」と「決断力」を向上させることができるようになります。

つまり、フリーアドレスにすることによって、業務のマンネリ化を防止にも繋がるということです。

スペースコストの削減

フリーアドレスを導入すると、会社は全社員分の座席を用意する必要がなくなるため、スペースの有効活用が可能になります。

フリーアドレスを導入するときは、社員の在席率を把握し、その数を目安に総座席数を算出するため、固定席で業務を行っていたときよりも、少ない座席数で済むことがほとんどです。

例えば、外出が多い社員や、クライアント先での作業が多い社員などがいる場合、ほかにも、会議が多く在席率が低い社員がいる場合などは、社内で使われることが少ないスペースを削減できる可能性があります。

また、レイアウト次第では、今よりも座席を減らして広いオフィス空間を作ることもできるでしょう。

一方、コスト削減を考えているのであれば、より狭いオフィスを借りるという選択肢も出てきます。

フリーアドレスを導入することによって、スペースを有効活用するだけではなく、無駄なコストの削減を実現することもできるのです。

クリーンデスクに対する意識の向上

フリーアドレスを導入することで、固定席ではなく自由席になるため、デスクをきれいに保つという意識を向上することができます。

自分専用の固定席で業務を行っていると、机の周りに必要ない資料が積み重なっていたり、道具が出しっぱなしになっていたとしても、他の人が自分の席を使うわけではないので、気にしない人もいるかもしれません。

その状態が、多くの社員の席で起こっていたとしたら、決して働きやすい環境とは言えず、作業効率の低下につながる可能性もあります。

しかし、フリーアドレスを導入することで、自分が使っている席は、明日は別の人が使うかもしれない、という意識を持つことになるでしょう。

したがって、業務が終了すると同時に、共有ファイルは元あった場所に戻し、自分の資料は個人ロッカーに収納するなど、自分が使っていた机の上や周辺を片付けることになるので、常に机は整理された状態が保たれることになります。

また、資料の電子化や、共有備品の在庫管理を意識的に実践できるので、印刷や備品購入のコスト削減の機会が増えることにも繋がります。

実際に、総務省行政管理局がオフィス改修を行った際にも、個人周辺の文書量が約8割減、約7割の職員が業務がやりやすくなったと回答し、カラープリントやコピー数が半減したなどの効果があったとの報告もされています。

フリーアドレスのデメリット

フリーアドレスの導入にはメリットだけではなく、もちろんデメリットも存在します。

ここからは、フリーアドレス導入の際に発生するデメリットについて解説していきます。

社員の場所がわからなくなる

フリーアドレスを導入すると、各々が、その時空いている好きな席に座るため、誰がどこにいるのかが、わからなくなるという問題が発生します。

以前までの固定席の場合は、座席表を確認し、目的の人を探すことが可能であり、不在の場合は席にメモを残しておくことができました。

しかし、フリーアドレスの場合、相手がいないときはオンラインチャットツールで連絡をとったり、直接電話をして居場所を確認するなど、どうしても少し手間がかかります。

また、部署内のメンバーがバラバラに座るので、一体感が無くなってしまうという考えを持つ従業員が出てくる可能性もあります。

従業員の半数以上が常に在籍するような会社の場合は、固定席のままのほうが都合がいいかもしれません。

ストレスを感じたり、集中の妨げになる

フリーアドレスはその仕組み上、執務環境や周辺メンバーが毎日変化します。

プロジェクトの内容や、従業員の性格次第では、自分の空間がないオープンスペースな構造や、周辺との距離が近すぎることがかえってストレスに感じてしまい、生産性の低下につながってしまう可能性も考えられます。

例えば、静かな環境で仕事をしたい従業員の隣に、頻繁に電話をしている営業の従業員が座った場合、前者の従業員の生産性が下がるのは目に見えています。

そのような場合、以下のような取り組みを行うことで、生産性の向上が期待できるでしょう。

①オフィスのレイアウトを工夫

②電話や会話のルールを設定

③オープンスペースとプライベートスペースの両方の設定

といった、取り組みを行うことによって、生産性の向上を期待することができます。

導入にコストがかかる

フリーアドレスを導入することで、社内のスペースを有効活用することができ、空間的コストカットが可能になります。

しかしながら、フリーアドレスを導入するにあたり、業務環境の整備などが必要になり、どうしてもコストが発生する場合があります。

具体的には、以下のような整備が必要になるでしょう。

①ネットワークの無線化

②オフィスのレイアウトを変更する際の工事費

③個人用キャビネット等の備品の整備

④携帯やパソコンとなどの機材の導入費用

⑤出退勤などの勤怠管理システムの導入

といった設備が必要となります。

ですが、ただフリーアドレスを導入するのではなく、上記のように業務環境を整え、従業員が毎日の業務に対して、不自由を感じない環境を作るのは非常に重要なことです。

居心地の良いオフィス環境を作るためには、必ずコストはかかるため、フリーアドレスの導入を検討する際には、導入目的にあった規模の確認、詳細な導入計画の立案、整備の準備といったコストを意識するようにしましょう。

フリーアドレスの導入手順

ただフリーアドレスを導入するのではなく、導入手順とポイントを抑えておくことが重要になります。

ここからは、フリーアドレスの導入手順とそのポイントについて解説します。

フリーアドレスを導入する目的を決める

フリーアドレスを導入することで「社内に自分の居場所が無くなってしまうのではないか」という不安を感じる社員が出てくる可能性があります。

そこで、まずは何のためにフリーアドレスを導入するのかを社内で共有し、認識を合わせることが重要になります。

例えば、「部下の居場所がわからなくなる」といった不安の声が上がったとします。

経営者視点からすると、「新しい価値観や、考えを生み出すために、部門を超えたコミュニケーションを増やしたい」と考えており、「フリーアドレスの導入は、その手段なのである」という目的をきちんと伝えると、従業員も納得してくれるでしょう。

まずは、”目的”を理解してもらえるように説明し、フリーアドレスの導入はあくまでも”手段”の一つであるということを納得してもらうことが重要なポイントになります。

ルールを決める

導入する目的を社内で共有したあとは、課題や問題への対応策を組み込んだ、最終的なルール作りに取り組みましょう。

小さなことであっても、運用次第では心理的抵抗に繋がる可能性もあります。

例えば、「ペットボトルに付いた水滴で、濡れたままのデスクは使いたくない」といった、ちょっとした問題がある場合は、「デスクを使用したあとはウェットティッシュで拭いてから離席する」というようなルールを決めるのが良いでしょう。

また、このようなルールは導入前に定めるのが理想的ですが、導入後も従業員の声を反映できる運用形態を維持するべきです。

そのために、定期的なアンケートを実施したり、相談フォームのようなものを設置して、従業員が不満を溜めないような環境作りにも努力しましょう。

フリーアドレスの対象者を選出する

フリーアドレスを導入する際は、初めから全社員に導入するのではなく、最適な部署に導入するのが一般的です。

職種ごとの特性を考慮し、フリーアドレスを導入するのか、固定席のまま運用していくのかを決めるのが良いでしょう。

フリーアドレスが向いている部署や職種は以下になります。

①営業やマーケティング等の部署

②外出が多い部署や、フレックス制度を導入している部署

③会議が多く、在席率が低い社員が多い部署

④ノートパソコンでのみ業務ができ、物理的な制約が少ない部署

逆に次のような部署は、フリーアドレスには不向きと言えます

①総務、人事、経理などのバックオフィス系の部署

②契約書や請求書のような、紙媒体を扱うことが多く、現物を手元に保管しておく必要がある部署

③機密文書の管理などの、セキュリティレベルが高い業務が求められる部署

④座席の移動により、業務効率の低下や情報漏えいの可能性が高くなるような部署

フリーアドレスの対象者を決める際は、その部署が行っている業務内容を把握している必要があるため、導入前に十分なディスカッションが必要になるでしょう。

座席数を設定する

フリーアドレスの対象者を決定後、次は「座席設定率」を検討しましょう。

「座席検討率」とは、フリーアドレスの対象者のうち、オフィス全体に設置する座席の割合のことを指します。

対象の社員のうち、何人が同時に出社する可能性があるのか、その際に、どれくらいの座席が必要になるのかを考慮した上で「座席設定率」を算出します。

例えば、フリーアドレスの対象社員が100人いたとして、そのうちの座席設定率が70%ならば、必要な座席は70席になるということです。

座席の数を決める際には、外出や会議が多い営業やマーケティングの部署の座席設定率を低めに設定し、固定席での業務が多い、バックオフィス部門などは100%に近い数値に設定するのがオススメです。

また、座席の数で、オフィスのレイアウトやデスクの数が決まってくるので、導入前に綿密なディスカッションをしておきましょう。

座席の運用方法を決める

フリーアドレスにおいて、座席の運用形態は「完全フリーアドレス」と「グループアドレス」の2種類があり、それぞれの部署に適した運用形態を見極めることが、業務の生産性の向上に繋がります。

「完全フリーアドレス」とは、エリアを限定せずに、その時の空いている席の中から、好きな席を選んで業務に取り掛かる運用形態のことをいいます。

毎日違う席に座り、普段の業務の中では接することのない部門のメンバーと関わることで、社内コミュニケーションの活性化を期待することができます。

しかしながら、座る席によっては同じ部署のメンバーが近くにいない場合もあるので、連携が取りづらくなる可能性もあります。

「グループアドレス」とは、グループごとにエリアを指定して、そのエリアの範囲内で自分の好きな席に座る運用方法です。

目的に応じたグループ設定をすることで、特定のグループのコミュニケーションを活性化することができます。

また、グループアドレスを部門単位で設定することで、部署内の連携が取りやすくなるといったメリットもあります。

運用方法を社内に共有する

運用方法が決まったら、その内容を社内に共有しましょう。

「新しい働き方や運用ルールを決めても、社員に守ってもらえない」といったケースは、多々あります。

そうならないために、共有方法についても工夫をするようにしましょう。

マニュアルを作成して公開する

オフィスの使いかたや、運用方法を記載したマニュアルを作成し、全社員が必要な時に、いつでも閲覧できるような場所に置いておくのが良いでしょう。

そうすることで、今いる従業員への周知が可能となるだけではなく、これから入ってくる中途入社の従業員や、転勤してきた新しい従業員にも、オフィスの使いかたに関してスムーズに説明することができます。

社内説明会を実施する

マニュアルの作成とともに、社員に対して新しい働き方に関する説明会を実施するというのも有効な手段の一つです。

また、マニュアル作成時には、総務担当だけでルールを決めるのではなく、働いている従業員にも、ルールづくりに参加してもらえるような体制を整えていくと良いです。

そうすることで、オフィスや働き方に関する興味関心を高め、スムーズなルールの浸透が可能になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

フリーアドレスは、単に全社に導入すればよいというわけではなく、導入前に綿密なディスカッションを行い、その目的を従業員に理解してもらう必要があります。

何も考えずにフリーアドレスを実施してしまうと、かえって業務の効率を下げてしまう恐れもありますので、導入を考えている場合は、メリットとデメリットを理解してから導入するようにしましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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