OJTとは?目的と注意すべき点を併せて解説!

企業にとっては、新入社員が入社してくることは、会社に新しい人材を迎える楽しいイベントです。

その一方で、人事担当者や新入社員が配属されてくる部署にとっては、少なくとも自社の業務については、まったく何の知識もない新入社員を、一から教育しなければならないという大変なイベントでもあるというのが実態です。

この教育の中で、「OJT」という概念があります。

「OJT」であれば、教育にかかる期間が短縮できるし、教育担当者の負担も軽減できて新人教育が楽になる、という考えは、本当に正しいのでしょうか。

あらためて、OJTの目的や本質について、この記事で解説します。

OJTとは?

OJTとは「On the Job Training」を略した言葉で、「実務を通して業務知識を学ぶ」という人材育成手段のことをいいます。

OJTの対義語に「OFF-JT」というのがありますが、OFF-JTは座学・講義などによる研修などで、業務知識を学ぶことをいいます。

OJTが、日本のビジネスの場面で使用されるようになった歴史は古く、戦後の高度経済成長期には、すでにOJTの考え方を採用する企業が、増えてきていたとされています。

ここから、戦後の高度経済成長期には、すでに現代の働き方や人材育成の考え方が、ある程度根付いていたと考えられます。

OJTとOFF-JTは、ほとんどの場合、どちらか片方だけを採用するのではなく、両方を併用して新人を教育していきます。

新入社員は、まずOFF-JTによる座学主体での研修を受けて、その後に実際の業務に当たりながら、スキルや知識を実際の業務の中で身につけていきます。

ただし、OJTは現在実際の業務についている上司や先輩社員が行いますが、OFF-JTは外部講師が担います。

この外部講師が行うOFF-JTの内容としては、接客業であれば接遇・マナー研修、IT企業などであればセキュリティ専門家によるセキュリティ研修、あるいは人事コンサルティング会社の講師が、その役割を担うこともあります。

OJTを職場で取り入れる目的

実際に、業務を行いながらスキルや知識を学ぶというOJTですが、これを取り入れる目的は具体的には、どのようなものでしょうか。

まず、OJTを取り入れる目的のひとつには「業務効率の向上」があります。

OJTは、実際にその会社・その部署で行っている業務を、行いながら新人教育をするという手法であるため、実際の業務を行ってみて初めて得られる知識やノウハウ、そして業務の流れを学ぶことができます。

加えて、新人が初めてその業務を行うことによって、つまづきやすいポイントや新人から見て非効率な業務の部分、どのように新人教育を進めていけばよいかなど、先輩や上司にとっても学びの多い教育研修となることは間違いありません。

次に、座学だけでは得られない業務の実感を、いち早く新人が身につけられるというメリットがあります。

新しい職場であったり、これまでは学生であった「新人社会人」にとっては、「仕事をする」ということがそもそもどういうものなのか、ミスをしたらどうしたらよいのかなど、様々な不安を抱えているものでしょう。

こうした仕事に対する不安を払拭するためにも、OJTは役立ちます。

OJTで実際の業務を遂行しつつも、不明点や不安なポイントをすぐに指導役の先輩社員・上司に尋ねることができるということがポイントです。

さらに、まだ社内の人々にあまり認知されておらず、人間関係もできていない新入社員が、他の先輩社員たちとの関係を、作りやすいという利点もあります。

新人からでは、事務的な用事であったとしても、先に仕事についている先輩社員に声をかけることはなかなか難しいと思います。

しかしながら、指導役となる先輩や上司と一緒であれば、先輩社員にも声をかけやすくなりますし、先輩や上司が新入社員を紹介しながら会社を回り、部署を紹介したりしながら研修を進めることもできるようになります。

OJTを行うことで、様々な目的とメリットがあります。

OJTを行うにおいて注意すること

OJTは実際に業務を行わせながら、不明点を解消したり即座にフィードバックを与えたりすることができるというメリットがあります。

このように考えると、座学をずっと行わせたり、新人を教育研修で拘束する時間が短くなるように感じられることから、「教育コストの削減」という名目と相性がよいように感じるかもしれませんがら、OJTは決して教育コストの削減のために、取り入れるという手法ではありません。

新入社員に教育コストがかかるのは当然のことで、「座学をする時間がもったいない」「新人をとにかく早く現場に送り込みたい」という目的が先行してしまうと、新人は何もわからないまま現場に投入されたという「放り出され感」を受けてしまう可能性が高くなります。

新人にとって、座学による事前知識を得られるということは、それが実際の業務の中でどのように活かされるのかという、ベースの知識を得ることができ、ベースの知識は非常に重要となります。

また、何もわからない状態で業務にあたっている新人社員に対して、上司や先輩としてもフィードバックを与えることは不可能です。

このようなことから、OJTは教育を「楽にする」という目的においてではなく、「新入社員がより業務を受け入れやすくするためのもの」である、という意識が重要になります。

OJTにおいては新入社員に何をさせるべきか

業種にもよりますが、現代の多くの企業は人手不足です。

場合によっては、一人の担当者がいくつもの業務を担当していたり、社内の調整役や連絡調整など、雑務的なものを多くこなしているというケースもあるでしょう。

こうした業務ももちろん重要なものではありますが、新入社員にいち早く教えなければならないものではありません。

新入社員には、まずその会社・その部署で必要とされる、核心的な業務の知識と経験を与えるべきです。

「入手したらとりあえず雑用でもやってもらいながら仕事を覚えてもらう」というのを、OJTとは呼びません。

既存の社員が担当している複数の業務のうち、まずはひとつの業務について、その核心となる業務を新入社員にも、わかりやすく噛み砕いて説明してあげたり、経験を積ませてあげるといったことが必要になります。

こうした教育の方針を、新入社員が入ってきてから突然策定することは、不可能に近いといえるため、まずは、OJT担当者が現在行っている業務を分解したり整理したりして、どのように新入社員に展開するかを計画しておくことが重要になります。

次に、計画に則って新入社員に業務を少しずつ渡していき、できる担当範囲を広げていくという教育方法が適切となります。

OJTは、教育プランを作成することや、新入社員へどのような業務を、どれだけ与えるかという綿密な計画がなければ成立しないものです。

OJTのフォロー体制

新入社員の教育において、OJTを行って、ある程度業務知識がついたらあとは新入社員自身で仕事をしながら覚えて、といった具合に教育を手放してしまうケースは、珍しくありません。

しかしながら、本来のOJTは教育研修の期間を短縮するためのものではなく、「ある程度」の業務を遂行できるようになったからといって、OJT教育が終了したとは必ずしも言えません。

OJTにおける重要なポイントのひとつに、「業務を遂行しながら与えるフィードバック」が挙げられます。

OJT担当者からのフィードバックは、もちろんのこと、新入社員・OJT担当者・部署の上司や部門長といった人との三者面談などの機会によって、様々な視点からのフィードバックが必要です。

また、フィードバックは悪いポイントだけではなく、研修の成果が出ていることや、OJTの中で担当者が教えたことのうち、新入社員が実際の業務で実行できたことについて取り上げてあげるのもよいでしょう。

このように、本来の意味でのOJTが適切に実行されたとき、OJTの本来の価値が発揮されるのです。

まとめ

OJTにおいては、新入社員に実際に業務を行わせるだけではなく、段階的に業務を経験させて覚えさせることや、実際に行わせた業務について適切にフィードバックを与えるなど、決して楽ができるものではありません。

OJTだから研修が楽になる、手間がかからなくなる、というような考え方は、教育・研修の考え方としては適切ではないということを忘れてはいけません。

OJTを効果的に行うためには、新入社員にどのタイミングでどのような業務を経験させるか、フィードバックやフォロー体制はどうするかなど、綿密な教育プランの作成と実行が求められます。

「とにかくやって覚えてね」といって放り出すような体制は、決してOJTとは呼べないものなのです。

ぜひ、OJTを活用して、新入社員の研修を行っていきましょう。

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